2015年02月15日

NHK文化センター 安井豊彦先生のポートレート講座(2015年2月)



安井豊彦先生のポートレート講座、2014年度後期第5回目です。

今回、修理から戻ってきたα99で、JPEG+RAWで撮ってみました。JPEGとRAWは別々のSDカードに保存されます。撮ったJPEGの方は、撮影後すぐにiPadに取り込んで見るのです。いつもはRAWだけでiPadに取り込んでいたのですけど、JPEGだと取り込むのが速いですね。なかなかいいので、これからもそうしよう。










takako 01

(1) α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/1000 f/1.8 ISO100



巨大招き猫の前でにゃーんと言ってもらって撮ったものです。背景の招き猫は耳と目だけですが、これだけで招き猫と分かるものですね。最初、にゃんと言われたので、にゃんじゃなくて、にゃーんと言い直してもらいました。


【講評】猫の大きな置物。いろんな意味で写真の背景としては魅力的な場所でしたよね。陽射しがあって、立体感みたいなものも写真的といえばそうでしたよね。この写真を見ていると、招き猫の真似をして左手を耳のところに持ってきてもってきてもらっているのでしょうけど、笑顔が自然と言えば自然なのでしょうけど、目線が背景にある猫の目線と一緒の方向に見ているんでしょうけど、そうであれば、もう少し背景の猫が猫として写されてもいいんじゃないかなと思う。そうでなければ、赤い耳の連なっている部分の面白さだけで構成された方が良かったような気もしますし、表情も中途半端と言ったらいいでしょうか。私達は現場にいて分かるんですけど、この写真しか見ない人にとっては、あるいは、常滑を知らない人にとっては、意味不明になってしまうんじゃないでしょうかね。ちょっと作者の気持ちの中で自己満足に終わってるきらいが無きにしもあらずという気がする。














takako 02

(2) α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 24mm 1/160 f/2.8 ISO100



ここは光がいい感じですね。広角なので足が少し大きく写ってしまっています。でも、これ以上後ろに下がれなかったですし、これくらいならいいかなと。


【講評】背景が落ち着いてますよね。そこに、初春の傾いているが強い陽射しが壁に当たって、その影が効果的に入ってますよね。コンクリートの塀なのか、そこの上にちょこんと座って、シンメトリーな絵ですから、落ち着いて見られる。モデルが、ただ、ちょんと置かれたみたいに、ちょんと置いた感じのそういう自然な感じがこの場合いいかなと思いますね。表情はほとんどこの大きさではわからないけど、こちらをじーっと見ている様子があって、両手を左右に広げて自然に置いている。落ち着いて見られる作品だなという気がします。ただ、1枚だけ見てると弱いという気がする。














takako 03

(3) α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 50mm 1/2000 f/2.8 ISO100



この写真は、これ1枚だけだったら選ばなかったかもしれません。次の写真と並べるとなんかいいなと思ったのです。


【講評】(いつもと違うブロジェクターで、画面がなり赤く表示されていて、赤の色の階調が出ないということで)こういう場合、彩度を少し落とすことによって、とくに赤の飽和が改善される。














takako 04

(4) α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 70mm 1/1600 f/2.8 ISO100



【講評】陽射しそのものがまだまだ斜めから来ている。彼女の目の下、鼻の下、少し長めの影が出ていて、コントラストが強いが、それが逆に、背景の青、ドカンの褐色の色とあいまって、厳しい冬の中にも力強さみたいなものが見えて来る印象を覚える。モデルさんの顔というと、なんとなく、物思いに耽っているようでもあり、口唇に少し笑みをたたえているようでもあり、今の寒い中にも陽射しを浴びてる自分自身を楽しんでいるということも感じさせる。いいんですけど、少し静かすぎる。動きがあっても良かったのかなと。陽射しを顔全体に浴びるように上をふうって見て、目をつむるとか、ちょっと首をかしげるとか、もしくは、両腕をちょっと張るようにしてみるとか。そうすると、静かな画面ではあるけど、常滑の冬、初春の日差しの強い焼き物の街というダイナミックな胎動が感じられる写真になったのではないか。














takako 05

(5) α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 24mm 1/1000 f/2.8 ISO100



この土管坂の上の家まで入れて面白いなと思って撮ったものです。立ってもらう向きをもう少しこちら向きにしてもらった方が良かったかもしれません。顔だけこちらに向いてもらった写真ならあるんですけどね。


【講評】これはこれでいい。超広角を使って、石垣ならぬ土管の台の上に立つ家、背景には濃い青空が広がって、まだまだ寒い冬だということを思わせる枯れ枝が端の方に見えている。季節感を真っ先に肌で感じる。足元にぬっている強い影、これがいいんじゃないでしょうか。べたっと光が当たっているんじゃなくて、坂の街、そういう立体感のある周りの環境みたいなものを感じさせてくれる。ただ、前を向いて、家の前に、塀の前にモデルさんを立たせて撮っているように思うんですけど、カメラの後ろ側のことも伝わってくるような感じがこの影から伝わってくる。濃い色がいい。これを明るくしてしまうと、この建物、土地の質量、坂道、構造物みたいなものが、重さとして感じられないんですけど、これくらいの濃い濃度の写真であったが故に、手応え、見ている側の気持ちまでが引き締まりますよね。モデルさんは、この場合は、何気ないポーズがよかったんで、変にポーズをとったり、表情をこちらを見て笑ってもらうんじゃなくて逆に良かったと思う。














takako 06

(6) α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/320 f/1.8 ISO100



この写真は私が今回撮った写真の中でモデルさんのお気に入りということです。


【講評】常滑の土で焼いた彩色がほどこされた独特の物を集めた壁画ですよね。それが、モデルさんの手のあたりから、あと顔の近い部分のトゲトゲの部分から、伝わってくる。トゲトゲなところから向こうに行くにしたがって、レンズの持ち味であるボケがなだらかに続いていく。カラフルな色があって、女性がその壁画にもたれてこちらを見て笑っている。本来ならもっと大きく拡大して見ると、ここの先端の面白さみたいなものがもっと伝わってきたでしょうし、単純にアップにして見るとどうなのかということも言えますよね。もう少し、トゲトゲの部分が強調されると良かったですね。なんかなだらかになってますね。背景を活かす。モデルさんをどう、自分を代弁する形としてモデルさんを使っていくということなので、なんて言ったらいいんでしょうね。ちょっと難しいです。














takako 07

(7) X-M1 XF35mmF1.4 R 1/1600 f/1.4 ISO200



地面にペタンと座っていてなんだか可愛いですね。


【講評】土管を輪切りにしたもの、それを地面に埋め込んで、パターン化している。それが連続で奥に続いている、その輪の中に弧を描く感じの形のリズム感の心地よさでしょうか。それだけで構成するんじゃなくて、背景の植え込みの部分、奥の建物の影、そういったバランスがいいのかな。また、足のねじりかげん、ちょっと向きもいびつな形で作ってもらっているというのがこの場合はいいんでしょうけど。それとこの笑顔がそぐわない気がする。例えば、首をかしげてもらって笑ってもらえば、彼女のキュートな感じが出ると思う。そうでなければ、顔は上をぐっと見てもらうとか、逆に真下を見てもらうとか、オブジェ化してしまった方が周りに合うんじゃないかという気がする。














takako 08

(8) X-M1 XF35mmF1.4 R 1/640 f/1.4 ISO200



風が強く吹いていました。


【講評】フレーミングが中途半端な気がする。なんで縦位置なんだろう。背景を見せるための縦位置なんでしょうけど、あまり効果的でない。例えば、広角でパンフォーカスで奥までピントがあっていれば、パターン化した面白さが強調されるんでしょうけど。それか、横位置で切り取って手の組み合わせの面白さ、あるいは、斜めにしてもいいと思いますよ。若い女性のちょっとお茶目な雰囲気が出るんじゃいなかと思いますね。














takako 09

(9)α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/160 f/1.8 ISO100


移動中、見覚えのある場所が。この街角で、何気ないポートレートを撮りたかったのですよね。なので、少しだけ立ち止まって撮らせてもらったのです。


【講評】街を歩いているふうにイメージ作りをされたと思うんですけど、もっと背景が入ってこないと散策をしている雰囲気が弱くなってしまうんじゃないかな。常滑の風情が広くパンフォーカスでもいいから、説明的にならない程度に写されてもよかったんじゃないかな。


本当は、以前撮ったようにも撮りたかったのですけど、移動中でさっと撮らなければならなかったものですから。














takako.jpg

(10) α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/400 f/1.8 ISO100



この写真も、移動中、いい感じの背景になりそうな場所があったので、ちょっとだけ(多分、30秒くらい)で撮ったものです。


【講評】背景の逆T字の黒い線が画面を支配しているのが面白くて、そこの中に髪がなびいてへの字、コートもへの字、その連なりの面白さ、それがいいのかなというふうに思います。もう少し、手が、これでもいいんですけど、先がもう少しひゅっと開いても女性の可愛らしさが出たと思う。表情が記念写真ぽい。ちょっと曖昧な笑顔。この絵を作っている構成をした絵に対してこの笑顔はそぐわないと思う。例えば、口を真一文字にしてただキッとこちらを見ているだけの方がクールなイメージが画面全体を統一する。そういった意味ではもったいない。


何分にも移動中のちょっとだけの時間だったので。(*ノω・*)


【講評】この2枚(5)(10)が印象に残りましたね。










以上となります。なお、他の受講生の写真はこちらでご覧になれます。

今回、いつもより遠出して、いつもより時間をかけて撮ったので、なかなか楽しい撮影でした。

講評のとき、ビューワーのソフトウェアの調子がおかしかったので、いつもとは違うEXIFが表示されないソフトウェアを使って閲覧されていました。EXIFが表示されると、どんなカメラ、レンスでどんな焦点距離、絞りで撮ったかなどを見るのも面白く、また、その情報から誰が撮った写真なのかもある程度分かるので、EXIFはやはり見てみたいですね。写真をWebに載せる場合に、EXIFをわざわざ消すケースもあると思いますが、私はあった方が面白いと思います。

ところで、iPadで縦のものは縦に横のものは横に表示してくれるのは、写真の場合はどうだろうと思います。パソコンではないのだから、縦横気にせずとにかく最大画面で表示して欲しい。つまり、長辺は長辺に、短辺は短辺に。そういうごくシンプルな画像表示アプリってないのかなあ。あと、iPadに読み込んでる最中も、小さいサムネールじゃなくてもう少し大きく見られると、画像を取り込んでいるときも、それなりに見られていいのだけど。











ラベル:FUJIFILM SONY
posted by nishinyah at 22:33| Comment(2) | Portrait | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする