安井豊彦先生のポートレート講座、2014年度前期最終回の第6回目の撮影です。
今回は、飛び石連休の日曜日でもあり、9月の講評には出られないかなーと思っていたのですが、いろいろと予定を変更する出来事があり、講評に出ることができましたので、撮影編・講評編と分けずにお送りします。なお、写真の下に番号を付けているものが講評に出した写真となります。
今回はみんなで車に乗り合わせてワイキキビーチと呼ばれている?浜辺に行きました。この日の天気は難しいかなーと車に乗るための待ち合わせ場所に行くまで思っていたのですが、ふと空を見上げるといつの間にか青空が見えている。というわけで、ビーチでの撮影日和になりました。
カメラはいつもどおり
α99と
X-M1を用意していたのですが、今回はマリンシューズも用意したので、少し荷物が多め。よく考えてみると、確かに、X-M1は
液晶を見るための外付けビューファインダーフード
を装着するようになってから優れもののファインダーを備えることができるようになりました。でも、
X-Pro1は元々ファインダー付いているし、画質的にはX-M1と同等だし、多少X-M1の方がキビキビ動くような気はするけど、そんなに違いはないし、X-M1だけだったら確かにX-Pro1よりコンパクトだけど、ビューファインダーフードを付けるとなると大きさは逆転する。あれ? なんで、X-M1の方を使っていたのだろう・・・。というわけで、準備していたX-M1から
XF35mmF1.4 Rを外してX-Pro1に装着して持っていくことにしました。
しかし、バッテリーとSDカードはX-M1に入れたままだったのです(´ω`;) でも、予備バッテリーを一つ鞄にいれてあったから、それをX-Pro1に入れました。いつもなら、更に、SDカードの予備を持って行っているのですが、SANDISKの
このカード
以上の速度が出るものでないと、結局あまり使わないので、まあいいかと、今回は持っていかなかったのでした。でも、α99にはSDカードを2枚入れているので、そのうちの1枚を外してX-Pro1に入れました。ポートレート講座では、何人かで順番に撮るので、カードが一杯になることはまずないのでこれで一安心の筈でした。
α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 28mm 1/800 f/4.0 ISO100
青空(と言ってもちょっと雲多め。)を背景に両手を伸ばしてもらいました。
α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 35mm 1/1000 f/2.8 ISO100
ちょっと面白い撮り方はできないかなーと思って撮った写真です。うーん、空が真っ青だったら面白かったかもしれない。あるいは、もっと
ドラマティック
な空模様とか。
α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 24mm 1/250 f/2.8 ISO100
同じ場所で撮った写真が2枚続きます。どちらを講評に出そうかということなのですが。初めは、椰子の木も写っているこっちを出そうかと思っていました。顔もなんか少し幼い感じで可愛いですし。
【1】α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 24mm 1/640 f/2.8 ISO100
でも、写真の質、表情としてはこっちの方が良いのではないかと思いまして、こちらを講評に出すことにしたのです。
【講評】それぞれの場所で撮り方を工夫されているのが伝わってきますよね。この場所の特徴、上を向いたら円形になってましたよね。それを広角で仰ぎ見る感じ。背景もそうですけど、彼女が少しぐっとおじぎしてるっていうかね、カメラに向かって倒れてるのが良かったんですかね。左側になびいている髪の毛。全体がどちらかというと、シンメトリーでおとなしくなるところを髪の毛の動きで変化を与えていますし、表情もいいですよね。素直な表情で、じーっと。逆に言うと、これよりも一歩進むと無表情な恐い顔になってしまうんですけど、その表情の一歩手前ですよね。感情があるかないかぎりぎりのところの表情がこの場合、画面にあっていますよね。【2】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/1000 f/2.0 ISO100
リゾートっぽい感じになるように椰子の木をたくさん入れて撮ってみました。
【講評】これはよく分からないですよね。何をやろうとしているのかは分かるんですけど、ちょっと未消化な部分があってね。この表情もいいですよ。なんか中途半端な、瞑想に耽っているような。それにしては、手の表情、立ち方も変ですよね。ポーズをとろうとしているところなのか。つまり、写真というのは、舞台でもなんでも踊りでも、間の抜けた瞬間てありますよね。その瞬間を見てしまうとなんかよく分からない。逆に言うと、その間の抜けた感じが面白く見えて来るということでそれを意識して演じる役者さんもいるでしょうけど。この写真の場合には、それがあまり感じられないですよね。
例えば、(手前の椰子の木を含む左側を多角形ツールで境界をぼかして選択、そして、右にぐっと持ってきて、モデルのすぐ隣まで移動する。)、こういうふうに、こういう重ね具合で撮れば、彼女の表情とこのボケた椰子がこうなんかね、つながってくるんじゃないかな。彼女の気持ちがここにあるような気がして。そういう雰囲気になってくる、という気がするんですよね。(さらに、トリミングして)そうすると、表情もよくわかるし、手前の椰子の木が心理描写として伝わってくる。【3】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/250 f/5.6 ISO100
モデルらしく立ってもらいました。カッコイイ。
【講評】これもいいですよね。彼女の足の長いのがストレートに伝わってきて。ここにレフが当たってるのか、顔が明るくなってるのがね、ちょっと不気味なくらい、ここまでしなくてもいいくらい明るい。このままだとちょっと異様な感じがするんですよね。それをちょっと落ち着かせた方がいいというんで(全体に露出を落として)、背景が空と海と濃く同じようなトーンになって面白く感じますよね。後ろのブロックがずらーっとちょうどいいボケ具合になって、全体に奇妙な遠近感を作っているのがいいですよね。とくに、逆光の場合、顔はある程度不自然にならない程度に明るく起こしています。でも、この場合は、全体的にオレンジの輝度を上げているのが影響していると思います。私としては、このままでいいと思っています。
【4】α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 45mm 1/640 f/2.8 ISO100
後ろに浮き輪持って歩いている人がいるのがいいですよね。表情もこれはこれでいいけれども、もっと良いと思う写真が別にありました。でも、それだと、浮き輪の人がいない。いないと右側が妙に空いてしまいます。いっそ、Photoshopで合成しよう・・・とも思いましたが、そこまでするのもな、と思いまして、この写真をそのまま選びました。
【講評】これもいいですよね。下からの照り返し、歩道のタイルの黄土色が顔に反射して黄色いだろうと思うんですけど。ちょっと不気味な感じがするくらい照り返しが強くて、手もそうなんですけれども、それがいいですよね。この場合。背景に浮き輪を持った子供がいて、灯台があって、青い海、青い空、今の季節ではないと撮れないような写真でいいですよね。【5】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/800 f/1.8 ISO125
先生のアイディアで、傘をさしてもらってのシャワー。
【講評】これハイキー。実際にはここまで明るくはないんでしょうけどね。シャワーを浴びてるときの写真ですよね。奥の方には盛大に水がしたたっていて、手前の方には、黒い服の所に水玉模様、本当に水玉ですよね。逆にいうと、ここのところに、ずらーっと、それこそ水玉のように水がしたたっているともっとダイナミックな感じがでてきたんじゃないかな。
この顔にかかってもいいから、もうちょっと傘を傾けて、というか、もうちょっとモデルさんが奥の方にいって、しぶきが手前の方にあっても良かったと思いますよね。このシチュエーションが分からない人にはちょっと中途半端な感じになっちゃいますもんね。【6】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/800 f/1.8 ISO125
【講評】これは何をやっているかよく分かりますね。こちらにあるシャワーの口が見えているので、シャワーのある所で、傘をさしてるモデルさんに上から水を出したんだという感じは伝わってきますよね。ただ、モデルさんが、こちらを向いているのはよくわからないですよね。シャワーの音がザーッとするんで、例えば、ちょっと上を見てもらうとかすると、また写真に厚みが出たのかなーという気はしますし。目がちょっとつむってるのか、口元もなんか、要するに無表情な彼女の表情と全体のシチュエーションとがちょっとちぐはぐで、体はなんか反応していますよね。でも、表情が、上をちょっと見て、目を開けて、傘に当たる水の音にびっくりするとか、楽しんでるとかそういう表情でもよかったんじゃないかなという気がしますよね。【7】X-Pro1 XF35mmF1.4 R 53mm 1/3000 sec f/1.4 ISO200
水着の人を撮るのはこのときが初めてだったと思います。岩場での撮影ですが、撮ってるとき、実は私は海の中の岩場に足を入れていたりしました。マリンシューズを持ってきて良かったです。場所的に撮影者はあまり動けなくて、そうなると、周りで声をかけながら、ポーズをとってもらったり、目線くださいと言ったりとなります。そうなると、なかなか自分の作品として撮るのは難しくなりますね。また、陽射しの中ではいい表情をしてもらうというのも難しい。眩しそうな表情(ー'`ー )になってしまったり、影が濃かったりで。
【講評】これはなんていうか、もうちょっと体がくねくねしてれば、貝殻の上にのったビーナスだって見えなくてもないんですけど。絵作りを意識されているのかなと。すみっこの方に人物を置かれているのはよくわからないんですけどね。別に真ん中でもよかったのかなーとか、横位置で人物は真ん中に置いて、周りの海の広がりを楽しまれても良かったのかなーという感じがするんですよね。とくに、この腕が逆くの字で広がって右のほうに動きがあるから、逆にね、左右の広がりを画面上で感じ取れるように構成された方がこのポーズ自体も活きていたのかなーと。まして、この空の表情がもっと色濃く、雲の流れが象徴するように、秋の気配が感じられるふうに描写されていればいいにしても、ちょっと中途半端な空の表情ですもんね。【8】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/1250 f/2.0 ISO100
人魚のポーズ。このあたりで、α99に入れていたカードが一杯になってしまいました|liΣ(′Д`ノ)ノil||lil 今回はいつもより撮影時間が長かったのです。X-Pro1からカードを取り出し、以降はα99のみで撮影することとしました。
【講評】なんかこう不思議な感じですよね。さっきのビーナスが疲れて座り込んでしまったように見えなくもいなですよね。なんか疲れたなーという感じ。今まで、くねくねと体をくねらせて、髪の毛をなびかせて気持ちよさうな感じを皆さんにお店していたのが、もうショーが終わったので、ちょっと休もうかなという感じでしゃがみこんでいるという感じの疲れた写真に見えてしまいますよね。この口元を見ると、とくに表情疲れてますよね。おそらく、この前後のコマでまた違った写真になったかもわからないですけど、少なくとも、この写真を見てみると、ちょっとわかりづらい写真になってますよね。私にはそんなに疲れているようには見えないですけどね。
【9】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/250 f/5.0 ISO100
水着の後ろ姿というのも被写体としてはいい感じです。
【講評】これも不思議な写真。なんか、こうお尻がどちらかというとどーんと重く写って体全体も重いんだけど、砂浜を重く歩いてるって感じの後ろ姿。面白いって言えば、面白いんですよ。ただ、その面白さが、もうちょっと垢抜けた形で出てくると作品になえたのかなーという気はするんですけど。なんかちょっとお尻が重いとか、手の広げ方が重く体重移動をさせるために手を前後させる動きの最中なんですけど、それが逆に重く絵を感じさせちゃっている。そうかな? 重いというけど、夏の気だるげな感じもして私としてはいいと思っています。
【10】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/2500 sec f/1.8 ISO100
カメラに水をかけてもらって喜んでいる(ように見える)受講生もいました。( ´,_ゝ`)
【講評】これ、長い玉で撮っているのが分かりますよね。背景とか手前の水のボケ具合とか。全体は良く写っているんですけど、迫力はないですよね。水がかかっちゃうというより、水が彼女の手前で失速して、こちらに勢いがないという感じが伝わってきてるのが、そういうダイナミックさがないというふうに伝わってきてますよね。ちょっとどうなんでしょうか。例えば、望遠で撮れば、表情優先で顔を中心にして撮影すれば、もっとこれを高くあげてもらえば、彼女の顔は隠れるくらいな感じで、水がぼけた状態で、うわっと手前の方に向かってくる感じであれば、ダイナミックになったのかなーという気はするんですけどね。ちょっとお互いに遠慮しちゃったなという感じ。(。-`ω´-)ンー たしかに広角で近くからレンズに水をかけてもらうくらい近寄った写真はそれはそれで迫力があると思うけど、これはこれで私としてはいいと思うのだけど。ましてや失速しているようには見えないのですが。
【全体講評】これ【1】と、この【3】2枚いいですよね。この2枚でじーっと見ていたいですよね。もう少し絵作りを緻密にされた方がいいのかなという気はしますね。以上となります。たまには、こうやってみんなで遠くに撮影に行くのも楽しいものですね。他の受講生の写真は
こちらで見ることができます。
講評の後、みんなで食事をしているときに、噂のNikon
D750が本当に出ましたねという話をしたところ、ハイライト重点測光があるからD750はとてもいい、とくに、舞台を撮るときにスポットライトが当たっている人に合わせてくれるから、ということでした。
D810でもできるようですし、他の機種でもファームウェアのアップデートでハイライト重点測光ができると良いですね。ところで、D750は1/4000のシャッタースピードが残念という話をネット上でよく見かけます。1/4000のシャッタースピードは、今までのXシリーズでも同様の限界がありました。ただ、D750はISO50相当にもできるようですから、そのへんはXシリーズとはちょっと違うのかなとも思います。
次回は、港の近くでの撮影となります。