【講評】印象のあるのは、この写真【1】と、んー、そうですね、ちょっと全体を見てみましょうか。全体から受ける印象とすれば、モデルさんの雰囲気と堀川沿いの辺りとよく融合されている気がして見やすいことは見やすいんですけど、逆に言うとちょっとパンチがないのかなという気がするんですよね。要するに、刺激であったり、その作品群から受ける、ざわざわとしたものであったり、刺々しいものであったり、誘惑されるものであったり、蠱惑的なものであったり、要するに刺激的であったりするものがちょっと希薄かなという気がする。今言った蠱惑的なものといった中に、これ【1】がそういった中では当てはまるような気がするんですけどね。
これ【1】を見て思ったのが、私が半世紀前に行ったニューヨークのセントラルパークで髪の毛の長いヒッピーがこういう得体のしれない踊りをしていたなあ。私が出した写真集で、1000mmの望遠を使ってニューヨークの街を撮った写真集があるんですけど、そのときにヒッピーが同じような格好をしていて、そっちはもっと全身が写ってましたけど、その写真と似ている気がして、何か得たいがしれなくて、もちろん、ポートレートの部類に入るわけでもないし、風景写真の部類に入るわけでもないし、一種の心象風景かなという感じすら受けますよね。そういう意味でいうと、この写真も、これからの写真、これからのポートレートの中に入っていく気もしますけどね。でも、他の写真を見ると、ちょっと従来の写真の要素が強かったり、ちょっと構成的な写真もあったり、そういう意味ではちょっと統一感があまりないですよね。
【2】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/320 f/1.8 ISO100
【講評】これ、現場をあのとき見たんですけど、大正ロマンのポスターが展示されていたどこかの居酒屋だと思ったんですけど、その場所をもう少し活かしたらなーと。私達があの場所でポスターを見ているから、そういう感じがするんですけど、この大正時代の女性の像がもっとくっきりと浮かび上がった中で彼女がなんとなくこう竹下夢二の絵の中から出てきたような顔立ちをもっと鮮明に、一つの画面で表現してくれると良かったのかなーと思いつつ、あそこの場所に足を留めてみたんですけどね。残念ながら、そういう感じには写ってないですね。
【講評】ビートルズのアビイ・ロードの写真を思い出すと言えば思い出すんですけど、やっぱりちょっと感じが違いますね。
【講評】これもやりたいことは分かるんですけど。例えばもっとハイコントラストにしてみるとか。
【4’】先生がこのときトーンカーブを使ってハイコントラストにしたのを思い出して、改めてハイコントラストにしてみました。
1960年代のヒッピー族がいた頃に流行った、サイケデリック、それを彷彿とさせるような写真になりましたよね。やっぱりこうサイケデリックとかハプニングとか、うまく表現と結びついてこういった極端な写真表現が実を結ぶ感じになるといいかなという気を持ちながら、この写真をちょっといじってみたんですけどね。やっぱりデジタルでやるからにはデジタルの意味を持った写真で表現をしていかないとあまり意味はないんじゃないかなと。従来の写真の表現を引きづるような行為では意味はないんじゃないかと。
講評は以上となります。他の受講生の写真はこちらから見ることができます。以下の写真にはとくにコメントはありませんでした。(;´д`)
【5】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/250 f/1.8 ISO100
【6】α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/160 f/3.5 ISO200
【7】X-M1 XF35mmF1.4 R 1/110 f/1.4 ISO200
【8】α99 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 70mm 1/125 f/2.8 ISO100
なお、モデルの人に訊いてみたところ、【1】と【7】の写真がお気に入りで、どちらも雰囲気があるからということです。また、【7】の写真は少し変わった空気が周りに漂っていて面白いと思ったからということでした。
では、今回もおまけに1枚写真を載せておきますね。
α99 Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 1/160 f/2.8 ISO100