安井豊彦先生のポートレート講座、2013年度後期第2回目の撮影は、7月と同じ場所同じ女性の撮影です。服装ですが、スカートが真白、上の方はどちらかと言えば濃い色なので、これはちょっと露出の調整が難しいかなーと思いました。
使用した機材は、いつもどおり、
α99
と
Sonnar T* 135mm F1.8 ZAと
Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM、
X-Pro1と
XF35mm F1.4 Rになります。現像は
Apertureです。
X-Pro1 XF35mm 1/680 f1.4 ISO200まずはボートに乗っている写真です。ボートに乗っている所を陸から撮るのはちょっと難しいのですが、この写真はちょうど真正面からこちらを見ている所を撮れたものです。左側が少しもやーんとしているのは、パンダです。パンダなので、黒い部分もあるのですが、覆い焼きとかいろいろして、白いもやーんだけになるように変えています。ボートのキャノピー部分はほとんど白く飛んでいますが、真っ白い中に乗っているイメージとして、これはこれで良いだろうというものです。
講評:これはちょっと明るいかな。α99 Sonnar 135mm 1/500 f2.0 ISO100先ほどの写真では、ボートの中ということがあまりはっきりしませんでしたが、せっかくボートに乗っているので、楽しそうにボートを漕いでいる女性、ボート、池、池の向こう側の緑の風景を写しとりました。
講評:ちょっと説明的すぎる。池でボート遊びしてるというメッセージ性が強い。それは言葉で言ってしまえばすむことだし、イラストレーション、図解、それ以上の何か、写真でなければ表現できない世界というのは、やはり、質感。明るいなら明るいなりの質感、軽いなら軽いなりの質量、そういうものがあって初めて写真というものが成立するというもの。α99 Sonnar 135mm 1/800 f1.8 ISO100前後連続する何枚かの写真の中で、表情が最も良かったものです。また、ちょうど左下のコスモスにもピントが合っており、それを見ているような踊るような写真となっています。いつもなら、がんばって空は青くするのですが、この写真は、元々、それなりにアンダーで撮っているにもかかわらず(現像前はもっと暗い写真になっている。)、空は白いままとなっています。先日載せた淡い色の写真では空が白くても気になりませんでしたし、これだけ緑が入っていれば、空は白くてもありかなと思うところです。
講評:フィルムならいくら露出オーバーの写真を撮っても、例えば、看護師を撮るときも、木綿の制服であれば木綿のざっくりとした質感が出るまで焼きこみをしたもの。真白だけでは写真にならなかった。そこから始めた人は極力、白を飛ばさないように心がけている。できるだけ階調を残そう。飛んだとしても、できるだけデジタル処理でそこを補ってやる。しかし、特に、最近、ネットで作品を見る場合、ある部分、それはそれで良いのかなという気もする。でも、明るくても、階調はある。曇り空であっても、何もなくても霞があるとか、スモッグがあるとか、カーンと抜けた青空があるとか、空気感がないと。α99 Sonnar 135mm 1/320 f2.0 ISO100 trimmingこの写真、初めは選んでいませんでした。講評会の前日に、もう一度、写真を見直しているときに見つけた写真です。実は、この写真は、元々は縦写真であり、それをトリミングしています。元の写真では、スカートと手まで写っており、更にその下にはコスモスがたくさん咲いています。背景の緑ももっとずっと上まであり、右上には白い空が見えていました。ただ、なんだか表情が良かったのと、左手前のコスモスのもやーんとしているのが綺麗に見えたので、そこをクローズアップしたものです。
講評:明るい。本来、影になっている部分が、もっと濃い世界がこの奥にある筈。それがぺたっとした濃い目の緑になってしまっている。やはり、厚みがないというふうに見えてしまう。確かに、人物はハイキーで綺麗に捉えている。この花のボケもうまく生かされている。しかし、この深い森の部分が浅くなってしまっている。ここがもっと濃く表現されているともっと厚みや距離感も出たという気がする。
少し全体的に白っぽい感じはあるかなーとは思っていましたが、先日の
淡い色の写真を載せてから、あまりそういうのにも抵抗感がなくなってきていたところです。髪の毛の暗い部分をこれ以上暗くしたくなかったので、背景の部分だけコントラストを少し高めにして、緑の濃い部分に締まりを与え、更に、肌の色を少し健康的にしてみたのが以下の写真となります。
α99 Sonnar 135mm 1/640 f2.0 ISO100実は、初めは、この写真の前後の写真を選んでいたのでした。そちらの方が、スタイリッシュな感じがしたからです。でも、ずっと写真を見ているうちに、この表情に惹かれ、この写真が一番良く撮れているように思うようになりました。後で気付きましたが、上の方が少し白っぽくなっている所があるので、うまく緑を乗せるか、ちょっとだけトリミングすると良いかもしれませんね。
講評:他の写真に比べると、ちょっとコントラストが強く見える。モニターで見ると綺麗。プロジェクターで見ると、飛んでいるけど、実際は色が出ているから良い。しかし、皆さんが見てるパソコンは、ほとんどの人が買ったときのデフォルトの状態で見ている。今の明るいままの状態でネット上に載せると、明るくて青白いモニターで見てる人が多いと思うので、そういう人ためにも明るい階調をしっかり残すのが良いんじゃないかな。(ー'`ー;)ゥーン。モニターのキャリブレーションをどうするかってこともあるかな。元々、安井先生から、グレーチャートと標準チャートの画像をいただいていて、それを使って、モニターを調整していたんだけど(それでも、手作業では限界があるから、キャリブレーション用の専用機器をいずれ購入しようかなと思っていたたのだけど。)、元に戻した方が良いのかなー。とはいえ、それでも、Macだと、Windowsで見るよりも暗く見えるような気はしますけど。
ところで、最初に選んだ写真というのは、以下の写真になります。これはこれで良いと思います。
X-Pro1 XF35mm 1/4000 f1.4 ISO200この写真は、なんとなくバランスもとれているし、表情もなんとなく良いと思ったのです。ただ、惜しむらくは、ピントが右目の方に合っています。手前の目の方も、コントラストを少し高めにするなど工夫してみましたが、やはり限界があります。サイズを大きくして見なければ気づかない程度なんですけどね。
講評:この写真はいいですよね。下の部分がぎゅうと極端に伸びていて、顔がしっかりと描写されていて、顔面と下の部分が急に分離させているように見えていて、頭が浮いて見える。背景のお花畑と彼女の膝の部分が極端に伸びていることによって、頭だけが浮いている。奇妙という言葉を使っても差し支えないほど浮いている。写真でしか表現できない世界が良い。レンズ収差で縁が回りこんでいる。なだらかで絵が自然に描写されているのではなくて、周りが球状に回りこんでいて、白昼夢みたいで良い。
α99 Sonnar 135mm 1/160 f5.0 ISO400 trimmingこの写真は、表情が、無邪気というかなんというか、小動物みたいな、そんな感じ。少しトリミングをしているのは、しゃがんでいるフトモモ部分がコスモスに隠れているところからどーんと出ている感じで、なんだか不自然だったこと、また、右後ろの方には歩いている人たちが何人かいて、もやーんとしているから、そのままでも良かったのですが、併せて切り取りました。
講評:夢を見るというには、この表情がちょっと邪魔をしている。他の人の写真とは表情がちょっと違う。異質な感じ。なんなんでしょうね。レンズの味なのか、単純にモデルが作者に投げかけている感情が違うから表情が違うのか。なにかちょっと違いますね。
α99 Sonnar 135mm 1/160 f1.8 ISO125この写真は、なんだかコマーシャルフォトみたいですよね。バランスもとれているし良いかなと。
講評:これは、微妙にハイキー。暗い部分が明るく表現されてる。明るいスカートの部分と向こうの地面の分離がきちんとモニター上ではできている。明るい写真でいいんですけど、表情もそれに合っていると言えば、合っているが、もっと極端にできないか。本来、木の根っこは、もっと暗い。それを明るく描写されているのを活かすとしたら、もっと浮遊感が出てくるようなポーズでも良かったのではないか。たしかに、腕をあげていて、それが浮遊感につながっているが、例えば、足をハの字状に曲げるとか、膝を中心にクッとと左右に曲げてもらうとか、そういうポースをすることによってもっと今以上に浮遊感を出すことができたんじゃないかという気がする。これはこれで良いけど、もっと良くできると感じる。実はこの写真は以下の写真と、どちらにしようか悩んで選んだものです。なんだか、目線と手がオシャレな感じを醸し出しているような気がして、最初は下の写真の方が良いとも思いました。ただ、大きくして見ると、その目線が横を向き過ぎているかなと思い、上の写真を選んだのです。
α99 Vario-Sonnar 24mm 1/60 f2.8 ISO400この写真は提出しようかどうしようか悩みました。他にもっとまとまりの良い写真もあったのです。ただ、この雰囲気の写真は他にはなく、また、安井先生は必ずしも綺麗なだけの写真を評価するわけでもないので、これを提出することとしてみました。
講評:枝が左に張り出しているのを入れて、木の幹ももっと入れて、横の写真にすると、この表情が生きてきたのではないか。もっと広がりがある写真になったんじゃないか。モノを見るにはゆったりと見たい。落ち着いて時間をかけて見たい。そのためには左右に広がっていく方が良い。縦に絵が動くのは見づらい。縦の写真は、余程メッセージ性が強くないと。α99 Vario-Sonnar 24mm 1/60 f6.3 ISO320広角を活かした写真を撮ろうしたものです。
講評:これは、メッセージ性が強いので、縦にした意味が分かる。ちょっと上から撮っていて、下がすぼまっている。そして、上に木の部分を入れたこと。それと、かなり斜めにかしでいる。斜めに動きがある。倒れているような動き。横の動きにもつながってくる。彼女の腕が左右に開かれているということもそう。縦位置でありながら、窮屈さを感じさせないのはかしいでいるから。歪曲された画像、彼女の頭の部分があって、すっと体が細くなっている。これはこれで普通に撮ってしまうと、いびつさだけが際立ってしまうけど、この見開いた目と薄く開いた口元、そこが強いから、それと画面がかしいで、後ろの緑の背景が入ってきているから、見やすくなってますよね。後ろがないと窮屈なだけで奇をてらった歪みを強調しただけになりがちなところを少し広い視野でそれを補っている。以上となります。
今回撮影したモデルは、撮影すると、いろいろな顔をしています。なかには、これはちょっとと思うのもあったりするのですが、当たったときの表情はとても魅力的に感じられます。
posted by nishinyah at 21:36|
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