橋本先生のポートレート講座第11期第1回及び2回です。今回もサラ・ムーンの写真をお手本にして撮影しました。
今回からポートレート講座の仕組みが少し変わりました。講座は基本的に3回1セットで行われるわけですが、今までは、3回とも必ずモデルの撮影がありました。しかし、最近の講座は、講評はなく、撮影時、または、撮影の後でもいいのですが、先生に質問があれば質問が出来るという仕組みになっていました。実際は、講座終了後、みんなで昼食を食べに行ったときに、私が持ってきたMacBook Airで、その日に撮影した写真を見てもらって、写真の話やアドバイスを受けるなどしていました。この時間をもっときちんとした形でやれば、講座として非常に価値のあるものになるという意見が受講生から出され、1回目は撮影、2回目に1回目に撮影した写真を元に座学、3回目でそれらを踏まえてもう1回撮影するということになったのです。
モデルは、晶子さん。
そして、麗千佳さんです。
サラ・ムーンの写真は、ピントがあっているようなあっていないようなふしぎな感じの写真で、今まで、もっとピントが合った写真が撮れるようにするにはどうしたら良いだろうかと考えていた私には、ちょっとした心境の変化をもたらすものでした。でも、先生によると、ピントは合わせていないのではなくて、きちんと合わせた上で、このような写真を撮っているということです。
また、今回は、DxO FlimPack 3を使用して、白黒にしたり、昔風のフィルムっぽくしたり、少しセピアっぽくしたり、粒状感を出したりしました。
わざわざ白黒にしたり、今回のように、粒子を荒くすることは、今まではその必要性を覚えませんでした。たまに、白黒にしてみても、元のままでいいんじゃないかと思って。しかし、「
ドアノーのように」のときから感じているのは、白黒にすると、余計なものを削ぎ落してくれるということです。また、カラーで粒子を荒くする、それだけで元の写真よりも雰囲気が出てくるので、ちょっとズルいような気もしてきました。先生によれば、フィルムのときにやっていた加工の範囲であれば、許容範囲と考えているということです。私も結果が良ければそれで良いと言えるとは思いますし、表現の幅を広げることは意味があると思います。ただ、いくら加工しても、元の写真が良ければ良いほど良い筈です。
講座は、まず、
前回に引き続き、二人が森の中でしょうか、木のそばに立っている写真です。元の写真は、暗い森の中のイメージ(だけど光も当たっている)なのですが、我々が撮影した場所はどうしても広く開けた場所の向こう側に木々があるような場所になります。また、まっすぐに立っている木がいくつも並んでいる所を探したのですが、そのような場所は、ロケハンした範囲はありませんでした。仕方なく、樹木が背景にあるということで共通する場所を選んでみました。
先生からの講評では、人の演出の部分で、もう一つ、こういう感じというのが出てこない。これから先が出てこない。いくら自然とは言っても、この写真からうけるイメージは、元の写真の整然な感じではない。演歌歌手であれば似合うかもしれないということでした。また、写真の色ですが、古い写真みたいな感じになっているけれど、サラ・ムーンの写真では、白いところは真っ白になってて、単にセピア色にすれば良いというわけではないということでした。
もう1枚、ちょっと違う写真も撮りたくて、広角で撮った写真がこれです。広角で撮ったので太陽も入れることができました。右手で指さしてもらってます。
講評は、この二人のモデルに、このポーズはどうかなという気がする。前回のモデルの二人の方があってるということでした。
また、同じ場所で、受講生のF氏も写真を撮りました。そのときのモデルへの指示は、一緒に片足を前に出してみて、というものです。先生からは、この狙いはやはり面白い。元の写真も、同じように育った二人が同じ服を着て、同じようなリアクションをするであろう写真。そんな感じの面白さがあるということでした。以下の写真は、F氏が撮影しているときに、私も撮影したものです。
さて、この日の外の撮影の最後の方で、先生がかなり公園の奥の方(ロケハンでは辿りつけなかった場所)にまっすぐな木がある所まで皆を連れて行きました。そこで、撮ったのがこれです。
ところが、私は右側にあるまっすぐな木をフレームの中に入れていなかったのでした。なので、もう1枚掲載しておきますね。
ただし、この場所でも、まっすぐな木は1本くらいしかありません。背景も明るく、元の写真とは異なる雰囲気ではあります。
この場所で先生はモデルの二人に右手をあげさせました。要は揃っていることを強調したかったということです。同じポーズをとるというのがポイント。手をあげるのは確かにイレギュラーなポーズではあるけど、写真には、「え? なんで・・。」という疑問の部分があっていい。突拍子のないことでなければ、なんだろうと思わせる所はあってもいいということです。綺麗な画面の中でスパイスとなる。また、足を少し開かせているのも、元の写真にはない要素です。女性が大地とつながっている感じ、というほど大げさではないけれども、そういう少しアヤシイ要素も入れているということでした。サラ・ムーンの写真には少しアヤシイところがあるということです。
なんでも綺麗に調和するだけでなく、不調和の面白さもあってもいいのではないか。でも、画面構成が綺麗でないとガチャガチャしてるだけで終わることが多い。だから、画面は綺麗に、人物の大きさ、目の開き具合、そんなところをきちんと撮る必要があるということでした。
次にお手本にした写真は、カフェでしょうか、女性二人やや奥の方に座っていて、顔を近づけて何か話をしているような場面です。真ん中右手前には柱というには少し細い白い棒のようなものが前ボケで入っています。この柱のようなものがあるおかげで、立体感や臨場感が出ています。
サラ・ムーンは、広告の写真を多く撮った方であり、この写真も広告で使われたものと思われます。前ボケを使っている写真はよくあるけれども、広告で、こんなふうに、ただの柱のようなものが前にあるという写真は普通はないということです。
先生は、美人画の中にそんなものがあるということで、上村松園の「
待月」の柱の向こう側に女性が立っている絵を紹介されました。この絵は、ただ、きれいな画面で終わらせたくなかったのではないか。ちょっとしたわずらわしさも表現している。元々は綺麗な佇まいなのだから、絵なら、柱を外してもいいのに、わざわざ入れている。上村松園の他の絵を見てみると、結婚式のときであろうか、男女が二人並んで向こう側に向かって歩いているが、二人は重なって描かれている。女性の帯の後ろは、途中までで画面から切れていている。綺麗な帯は本当は全部入れたいところだが、帯を全部入れると、そこに目が行ってしまう。粛々と歩いてる感じも出ている。気分の方を優先している。また、三人の女性が立って何か書物を見ている絵も見せて、ここでも女性は三人重ねて描いてあるが、顔なども重なっているのでほとんど見えない。でも、美しい女性の感じがででいる。ということでした。
しかしながら、ここでは、私はうまく前ボケを入れられなかったので、このような写真を撮りました。バラは、受講生のOさんが持ってこられたものです。
次は、男性が女性におおいかぶさるように抱きしめている写真です。実際は女性二人に抱き合ってもらいました。
先生によれば、元の写真は、男性の顔が見えないというのが大きな要素。今回は、女性女性だから両方とも見せていいけど、見えなくてもいい。ドアノーのときのキスの写真も、女性の顔を見せたいので、いっそのこと男性の顔は隠してもよかったかなと思う。見せたい要素を弱めてしまうのであれば、綺麗な目立つ所であっても切ってもいいんじゃないか。サラ・ムーンの写真では、男性の背中がどーんと大きくかぶさっているというのがあるが、男性、女性ではないし、服の色も違うから、同じようにはならない。受講生の皆さんは、それなりにアレンジしていると思う、ということでした。
次の写真のオリジナルは、修道女なのか、それ風のファッションをしているだけなのか、女性三人の顔が並んでいる写真です。
先生によると、規制をかけられた自由奔放ではないところで、これだけ美しい女性が、あやしい距離感で話してる。そのなかで、女性が二人で顔を近づけている。それら三人の距離感。本当は女性三人でやるといいのだけど、二人しかいなから、三人であることを優先して、受講生の男性三人でやってもらおうかと思ったけど、やっぱり、モデルが良かったので、なんとか二人のモデルで撮影しようとしたけど、やっぱりなんか違うということで、男性は一人入ってもらっての三人の写真となりました。
当然ながら、女性三人とは異なる解釈の写真となります。女性二人だけの所に男性が入ってきたときの女性二人の視線の向き。そんなニュアンスを出そうとした写真になったようです。
さて、次は、左側に猫の仮面をした男性がステッキを持って座っており、真ん中には女性が立っており、右手を伸ばして男性の左胸に手をあてています。その女性は左手にお皿に載せたカップを持っています。右側にも女性が男性に向かって座っており、左手にはやはりカップを持ち、右手は真ん中の女性の肩あたりに手を載せています。オリジナルの写真を載せられると早いのですが、ネット上ではなかなか転がっていないので、リンクも載せられないのです。(>Д<)
先生によると、ここで、猫の仮面をしない写真も撮れた筈である。おそらく、男性のニュアンスは盛り込みたくなかったのではないか。男性の顔は強い。この写真の女性の横顔の美しさに、男性の生々しさを入れたくなかったのだと思うということでした。
私が撮影した写真はまずこれです。モデルの配置なども、なるべく元の写真に似るように、私がアレンジしました。猫の仮面はないのですが、この男性は猫っぽい感じがするからいいでしょう。≡ΦωΦ≡
次に女性の位置を変えて先生がアレンジ。
真ん中の晶子さんがこっちを向いたときも撮っておきました。なかなかいい感じです。
この三人の写真の解説のときに、先生が言われたのは、今回の講座をしようとしたのは、画面構成とか、そういったものを高め、自分が出したいニュアンスを出せるようにするのが狙いであったということです。フレームを決めた時点で、上下右左の四辺は入っちゃうんだから、それは避けようがない。顔とか目とか手は強烈な要素である。それらをどう置くのか、2対1に置けばいいのか、そんな簡単な話ではない。目立つのは顔3つ。それから手に持っているカップ。次に手。それから、体のライン、それから、テーブルの上のカップ。そういったものが、バランスが良くなれば、絵が綺麗になって、見せる力になる。ということでした。
しかし、モデルが二人だと一人のときとは違う写真が撮れます。これは大変面白いと思う。世の中の写真撮影会でも、二人撮影を基本としたものはなかなかないのではいだろうか。それを提案した私もさすがである。(*゚∀゚*)エヘ
また、2回目は講評をメインにした座学というのは、なかなか中身が濃くて良かったです。しかも、それらを元に、3回目で、更に撮影ができるというのですから。