橋本先生のポートレート講座第8期最終回です。今回は演出がテーマです。このテーマは、7.3でもやりました。
モデルは、美沢憂さん。
美沢憂さんは、講座 5.2でも登場いただいた方ですが、雰囲気が全然違っていて、初めは、憂さんとは気付きませんでした。以前の素朴な感じも良かったけど、今回は素敵なお嬢様といった感じ。(・∀・)イイネ!! ちなみに、今回の講座は、5.2でやったことも含まれています。
さて、まずは、座学から始まります。先生が今まで撮影したきた中で、どんな写真が一番良かったのか、ということを改めて考えてみると、極力、演出しない写真が良い写真だったということです。
取材で、かなり高齢の女性の方を撮ったときのことを話されて、本人からにじみ出てくる、本人が持っているものがそのまま出ているのが一番良い写真だった。良くしてやろうというのではなく、いいものをそのまま引き出す、ということでした。その方の撮影は2回目ということ、また、相手の方も、写真家でなんと三国同盟の写真も撮られた方ということで、撮影前に写真家同士で、色々と話が出来て、今、いい笑顔をしている、それをそのままカメラに収めたら良い写真になったということです。
撮影するために、向かい合った瞬間に余計なことを考えさせない。撮影の段になって、ファインダーを覗いてから、何かを取りに行ったりするのではなく、事前にどう撮るのか考えておいて、すぐに、今ある笑顔をそのまま撮れれば完成するということです。
ただし、上記のことは誰にでも該当するわけではない。次に、保険会社のパンフレットのために、現役の生保レディを撮影したときのことを話されました。このときの被写体は、自分の歯並びのことを気にされているようで、なかなか自然な笑顔にならない。そんなことを気にしないで、笑顔を作ればよい表情になるのに。と、いうことで、いつも、どういう仕事をしているのか、その様子をやってみて、という状況を作ったそうです。実際に、スケジュールノートを開いて、仕事をしている様子など。そうすることによって、気にしていることから抜け出す瞬間を作り、撮影したということでした。
次に、研究者を撮影したときの写真を見せてもらいました。実験機器の前に、ただぼさっと立っている写真にはしたくなかったということで、まず、背景の液晶ディスプレイなどを整理して整え、真ん中に研究者に座って貰い、左側にある大きい実験機器の前に座ってもらって、それを研究者に見てもらう。そこで、声をかけて、こっちに振り返ってもらった所でパシャリと撮る。少し照れたような笑顔が撮れたということです。なお、このとき、カメラをまっすぐ構えることによって、背景の垂直の線がまっすぐになっており、無理に下や上にあるものを写すために角度をつけていないので、雑然としていない写真になっているということでした。
相手が緊張しているときには、何とかそれを外してあげる。前回のひかりさんのときも、バドミントンのラケットを持ってから、雰囲気ががらりと変わって良くなった。自分の世界に戻してあげる、そういう状況を作ってあげる。どうすれば、その人にふさわしい状況になるのかを考える、ということです。
もっとも、こういうふうなシーンで、こうしてください、というのは、一般的にはなかなかできないので、結果的に、その人の自然な表情が引き出せればそれでも良く、例えば、私がよくやっているように、ウインクの写真を撮影して、その前後の、ちょっと照れた様子とか、ウインクしようとしてうまくいかない所とか、そんな所を撮ると良いということでした。つまり、ウインクの写真だけでなく、その前後の写真こそ撮る価値があるということでした。(そうだったのか・・・。)。
さて、座学の後は、デッサンをしてから、近くの公園に行きました。
普通にじっとしているだけではない写真を撮るということで、状況を変える。そのために、先生が用意したのは、文庫本です。私も、モデルに何か本を持ってもらうといいんじゃないかと前から思っていて、素敵な本はないか探しているところでした。もっと大きな本のイメージでしたので、文庫本は思いつきませんでしたが、確かに文庫本でも雰囲気が出ますね。美沢憂さんは、声の仕事をしていることもあり、素敵な声で朗読までしてくれました。
次に、以前もやりましたが、カメラマンと一緒に、前後(特に後ろに)動いてもらって撮影し、自然な表情を狙います。
次は、二人一組で、状況を作って撮影です。我々の組は木漏れ日を活かして撮ってみようということにしました。なお、普通は、顔に木漏れ日による部分的な影ができるような撮影はしないのですが、あえて撮ってみようとしたものです。(ー'`ー;)ゥーン、でもやっぱり難しかった。
また、自分の携帯を持って操作してもらうと、自然な感じになったりします。
他の組も、いろいろなシチュエーションで撮影しました。
受講生のOさんが、うさぎを散歩に連れてきた方に声をかけて、うさぎとのツーショットの写真撮影に成功しました。
水飲み場で撮影。ここは、先生が、こういうシチュエーションは定番だから、ということで、ちょっと説明が入りました。背景とカメラと水飲み場の位置関係から、モデルには少ししゃがむ形で高さを調整してちょうどいい位置なるように、また、髪の毛を少しかき上げてもらって女性らしい仕草を加えると良いということでした。
階段での撮影。このとき、先生から、他の人が撮影しているときなどに、モデルの特徴をどう捉えて何を撮るのか、こういうときに考えておくと良いとのアドバイスがありました。つまり、どこに魅力があるのか、高い意識を持ってたり、精神の気高さが魅力になっているのであれば、それをどうやって撮るのか、あるいは、笑顔に魅力があるのか、それとも、ツーンとしているところがむしろいいのか、そういったことをよく考えると良いということです。なお、美沢憂さんは、どんなシーンでもリアクションをしてくれて、物怖じせず、表情がキラキラと変わって、どんなときでも可愛いので、万華鏡のようだと、後で、受講生のFさんが評していました。
今度は、受講生のOさんが、鏡を用意して、それを見ているところを撮影です。ここで、これも定番だからと先生から説明が入りました。鏡の撮影のときは、下からレフ板で光を当ててやると、鏡らしくなるということでした。また、鏡を使うと、女性の日常に触れたような写真が撮れるということでした。
さて、次は、二人で組んで、片方がインタビューして、片方が肩越しに撮影する方法です。この方法で、会話の中から、相手の自然な表情を撮ることができます。ただ、この撮影方法は、せっかく自分がいい表情を引き出したと思っても、その写真は自分では撮れないというのがちょっと悔しいと思ったりします。なお、この撮影では、話をする人によって、モデルの表情が、それぞれ違うということで、そういう意味でも、面白い撮影方法です。
次は、二人組ではなく、一人でモデルと向い合って、話をしながら撮影ということになりました。
私の番のときに、今まで、逆光気味で撮ってたけど、順光はどうだろうということで、撮ってみました。ちょっと顔の一部に影はできるのですけど、バリエーションとして、こういう写真もあってもいいのではないかと思います。ウインク(〃ゝω・)もしてもらいましたよ。
次に、今までは、割りと近くからの撮影だったので、全身はあまり撮れていないでしょうということで、今度は、全身を撮ることになりました。この場合、会話するには、遠くなりすぎるので、あらかじめモデルと打ち合わせて、演じてもらうことになります。
この場面では、ノートを持ってもらい、階段を登って立ち止まったところで、何かを思い出してもらうというシチュエーションです。
自分の番では、どうしよかなーと思ったのですが、柵と背景がいい感じの場所があったので、そこに立ってもらって、そして、またしても、(〃ゝω・)ウインクしてもらいました。
前回の制作講座でもありましたが、被写体の(この場合はモデルの)、存在に向かうのが、おそらく重要なのでしょう。モデルと向いあって、相手を知り、見た目だけの綺麗さを求めるだけではなく、その人の本当に魅力的な所を引き出して撮影することができるようなれば、一歩進んだ写真となるのでしょうね。