2014年02月16日

NHK文化センター 安井豊彦先生のポートレート講座(2014年2月)




安井豊彦先生のポートレート講座、2013年度後期第5回目となります。今回は、雨から小雨そして曇という天気の中での撮影です。

使用した機材は、α99Sonnar T* 135mm F1.8 ZAVario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSMX-Pro1XF35mm F1.4 RX-M1とAF-S NIKKOR 50mm f/1.4Gになります。現像は基本的にApertureを使っています。

なお、写真は、講評順に並べています。










Long Rope 7.jpg

(1) α99 Vario-Sonnar 24mm 1/500 f3.5 ISO100

広角で下から四季桜を背景に撮ったものです。初めはこの写真は提出しようとは思っていませんでした。顔の左側の部分がいくら明るくしても暗いままですし。ただ、この暗さが、次に掲載する2枚めの写真よりも、何か訴えてくるものがあるように思ったのです。表情も普通に笑っているのとはちょっと違う、背景とも相まって、少し不気味な雰囲気もあり、選んだものです。



講評:背景に枯れた枝を持ってきて、その髪の毛との流れ具合と同化をしてしまっている様子を面白く表現されているのかなと思うのですけど、なにか表情が、冬の枯れた枝の厳しさみたいなものとちょっと合っていなくて、笑っているんでしょうけど、やはり作り笑顔という感じがあって、そこらへんが見た瞬間に何か違うなという感じがある。構成の仕方としてはありなのかなと思うのですけど、表情が、どうも、背景と合っていないというのでしょうか、それと、この下から見たとき、当然、髪の毛であるとかね、体の佇まいみたいなものが変化が出てくるのですけど、そういったものと表情がそぐわないと言ったらいいのでしょうかね。作者が作ろうとした絵とはちょっと違ってしまったんじゃないかな。どちらかというと、次の写真の睨みつけるような表情の方が、この笑顔よりはいいのかなという感じがしますけど。ただし、この(2枚めの)写真は、面積でいったら、彼女のコートの部分が多くて、せっかく背景の枝が冬空に寂しく伸びているさまを、人物と合わせようとしているその意図が伝わってきづらいですよね。例えば、この(2枚めの)表情をこちら(1枚め)に持って行かれたら良くはなったろう。ただ、この表情もこちら(1枚め)よりは良いというだけであって、緊張感がない。素顔になってしまっている。










Long Rope 8.jpg

(2) α99 Vario-Sonnar 24mm 1/160 f3.5 ISO100

これは、1枚めと同じときに撮ったものです。本当は、アングルもほぼ同じだったのですが、縦にトリミングしています。どうしてトリミングしたのかというと、ほぼ同じアングルと書きましたが、1枚めでは、後ろの木の枝が頭部の後ろ全体に広がっていますが、こちらの写真では、左側に空がある程度大きく入ってしまっていたからです。この写真の場合は、背景の木は全体的に広がっている方が良いと思います。また、モデルのポーズですが、1枚めとは異なり、中途半端に少しだけ両腕が横に広がっている状態で、これなら、キヲツケの姿勢をしてもらった方が良いくらいでした。ただし、こちらの写真の方が、露光時間も長いせいか、顔全体がある程度明るくなっており、穏やかな感じの表情も良いと思い、なんとかこの写真を活かせないかと、いろいろな角度でトリミングして最終的に落ち着いたのがこの写真ということになります。



講評:(1枚めを御覧ください。)




確かに、コートの面積をここまで大きくする必要はなかったかもしれませんね。ふっくら感は出ているとは思いますど。表情は、私としては、好きなのですが。面積的には、こっち(下)の写真の方が良かったかな?




Long Rope 8-2.jpg












Long Rope 9.jpg

(3) α99 Vario-Sonnar 70mm 1/80 f2.8 ISO160

枝をつまんでもらって花を見てもらっているところ。



講評:まだこちらの方が、素直にカメラを向けている感じがあって、目がちょっとより目になっていますよね。彼女が本当に桜の花を見ている感じが伝わってきて、真一文字に結んでいる口元もいいんじゃないかなという気がしますね。ただ、ちょっと、もう少し、明るいところ(空の部分)の表情が出てきても良かったのかなーという気はしますね。それと、この明るい画面ではあまり気にならないのですけど、こちら(左下)にある■■が邪魔なのかなーという感じもします。それと、この桜の幹の部分、白い服(袖の部分)がまるでざくっとえぐっているみたいに入ってきていますけど、よくよく見ていくと、ちょっと何か絵が本来狙った絵とは違ってちょっと固くなっているように見える所が出てきますよね。この場合、この桜の花と彼女の表情だけで、もう少しアップ気味にした方がこの場の雰囲気みたいなものは出てきたんじゃないかなと思いますね。写真というのは、私は1枚だけで見るということはあまりしない方なので、この場合は、この表情と花びらだけで見ていく、当然、他の写真にこういう所で撮った写真があるわけですからね。これは当然、わかりやすい感じで、表情と花びら。その1枚だけだとちょっと窮屈な感じが出てきますけどね。他の写真もありますからね。










Long Rope 10.jpg

(4) α99 Sonnar 135mm 1/160 f1.8 ISO1250

今回撮影した中でベストだと思うのと同時に、この写真を選ぶかどうか悩んだ写真でもあります。ピントは右の木の方にいっています。でも、こういうのもありかなと全体的な雰囲気でそう思います。モデル全体のボケ具合もわるくないかと。この写真は、モデルがちょうどこの場所に到着したときに、とても雰囲気がよく見えたので、すぐにカメラを構えて撮ったものです。モデルにピントが合っている写真だったら文句なしだったかもしれないけど、そうすると、この写真の雰囲気はなかったかもしれません。つまり、この写真の場合、木の方にピントがあっていて、モデルはゆるやかにボケているが、それでもそれが正解だと思うということです。ポートレートというよりも、どこかネイチャー的な写真かなとも思います。



講評:これはなんか肩をすぼめて、人間離れをしてしまったような感じですね。固いですよね。なにか鳥が変身をしたような、ちょっと寒いなーという感じが伝わってくるような感じの写真ですよね。表情もそれを物語ってる気がしますし。










Long Rope 1.jpg

(5) α99 Sonnar 135mm 1/60 f5.6 ISO1600

この写真はわりと最初の頃に撮ったものです。まだ雨が降っていて屋根のある所で撮りました。なにか、がんばってと言ってるような感じ。ZARDの負けないでが聞こえてきそうな気がします。この写真と次の写真は、高感度で撮っていることもあり、ノイズを減らすために、Lightroom 5で現像しています。



講評:確かに可愛らしいけど、それだけなんじゃないかな。若い女の子が可愛いのは当たり前。その当たり前の可愛らしさを写真で表現するともっと深みのある可愛らしさになりますよという部分がない。じゃあ、どうしたらよいかというと、それは、この写真を見ながら、それを説明するというのは、ちょっと無理という話でもあるわけで、例えば、モデル写真を撮るときに、私達は、いろんな場所で、いろいろな変化のある場所で撮影することができる。まず、その場所を感じるということ。良く五感を働かせるというけど、写真を撮るときには、五感だけではなく、第六感みたいなものをもうちょっと出動させる。要するに、スイッチを入れるということ。自分が持ってる全ての機能を使い切る。その中で、五感を使うのは当たり前なんだけど、第六感と言われているようなものまでも使っていかないと、その場の空気を読み取ったり、自分がやろうとしていることを最大限、被写体を借りて表現はなかなかできないですよね。だから、ぐるーっと見渡してみる、いろんなアングルを想像してみる、そういったことを空気から感じとることもありますし、モデルさんに会ったときに、モデルさんの雰囲気から瞬時に嗅ぎ取る、嗅ぎとったことを五感を活かして撮ってい、ということじゃないかなと。










Long Rope 2.jpg

(6) α99 Sonnar 135mm 1/100 f5.6 ISO1600

前の写真が、場所柄もあり、受験生を応援しているようにも見えるのに、こちらは、なんだかおちゃらけているような感じになってしまいましたね。口を開けた表情はあまりないので、選んでみました。



講評:ちょっと表情がモデルさんぽくて、そこが、なんか。それと気になるのが背景と合ってない。ミスマッチをうまく活かすということも感じられない。古風なお寺、歴史のある背景で、今の明るい女性との落差を表現できれば、それはそれで面白い絵になったと思うのですけど、それはあまり感じない。










Long Rope 3.jpg

(7) α99 Vario-Sonnar 35mm 1/60 f2.8 ISO160

広角寄りで撮っていますが、バランス的には良いように感じます。他の写真とは表情が違う素直な感じで綺麗な顔をしていると思います。



講評:なんとなく不思議な表情になっていますよね。全体が明るいから、髪の毛までもかなり明るく見えてますよね。明るい中に、目と口がこう浮き上がって、まず、見た瞬間に、なんとなく、切ない表情が、くすぐられるというのでしょうか。なんか、女性独特の、媚を売る、本人は媚を売るつもりはないのでしょうけど、女性じゃないからどう言っていいか分からないけど、女性独特の表現の仕方、体、表情から出す表現の仕方がここにはしっかりあって、それが見たときに、何か、感じますよね。女性というのは、子供の頃からそういうのが備わっていて、明らかに違いますよね。小さいときから、女性の本能と言ったら良いのでしょうか、女性の表現が備わっていますよね。そういったものが、生理、本能から来るものなのでしょうね。











Long Rope 4.jpg

(8) X-Pro1 XF35mm 1/90 f1.4 ISO200

こちらは、X-Pro1で撮りました。同じ35mmですが、APS-Cなので、当然画角は異なってきます。顔のバランス的にはこちらの方が良いように思いますが、こちらの写真では目を開けている写真は撮れませんでした。目を閉じているのも良いと思い採用しました。



講評:うーん、2枚並べてるというのは、なんか、こう女性のいやらしさが二乗されたみたいな感じがあって。これならこれ、この1枚、どちらかを見せてもらうのならいいんですけど、2枚を見せてしまうと、女性らしい、こうすれば、男の人が可愛いと思ってくれるとか、女性らしく思ってくれるというような、そういう女性の代表的な例を見せられているような気がする。だから、撮影された本人の意見を聞いてみたいとは思う。写された本人がこれをどう思うか聞いてみたい。本人もそういうことを見越して、こういう表情をしている。計算でやっていると思う。やはり、この(前の)写真だけでいいような気がしますよね。これは、いやらしい計算高い感じがしてしまう。










Long Rope 5.jpg

(9) X-M1 NIKKOR 50mm 1/2700 f1.4 ISO400

五重塔を背景に、ただ立っている写真です。この写真は、NIKKOR 50mmでマウントアダブターを介して撮った写真で、換算75mmとなるわけですが、このくらいの望遠はちょうど良いかもしれないですね。このモデルの人は、口角に力を入れて少し微笑んでいるような感じの表情がデフォルトなので、口から力を抜いてとよく声をかけて撮りましたが、このときも、口からも手からももう少し力を抜いてもらった方が良かったかもしれません。



講評:これは縦位置で相輪の部分が削られてはいるけれど、五重塔を全て入れられて、全容が見えて、高いところから見ているから、同じような正対する形で見ているから、塔も歪んでないし、なにか舞台の書割ほど、ベタッとしたものではないけれど、背景が引き寄せられて、人物と同じぐらいの比率で何かを主張している。この場合、歴史の重さみたいなものを五重塔が語りかけてはいる。モデルさんはモデルさんとして、自然に、五重塔と同じように、ストレートに、ナチュラルな形で、こちらを見てくれている。ちょっと脚の形が日本人的と言えば、日本人的ですけど、もう少し脚が綺麗に見えるように工夫して欲しかった。かといって、モデル立ち、コンパニオン立ちではなくて、例えば、脚を少し開いてみたらどうだったのかなーとか、少し斜に構えてみたらどうだったのかなーとか。この五重塔にしてもちょっとこっち(右側)を角度的には向いていますよね。同じように、彼女も同じように斜めになってもらうとか、あるいは逆に見てもらうとかすると、背景との感じが、より融合されるのかなと思いますね。










Long Rope 6.jpg

(10) α99 Sonnar 135mm 1/160 f4.5 ISO500

花を見ているところ。つけまつ毛はない方が良いと思います。



講評:ポートレートでは、桜のシーズンになると、花を見上げる、撮影会ではよくあるポーズではないかなと思う。それが型にはまってて、それ以上に彼女の表情が横顔過ぎて、ちょっと見えづらい。花びらと唇の重なり合いも。









Long Rope 3.jpg  Long Rope 5.jpg



総評:(2枚選んで)この2枚で並べると、なにかこう古風な背景でありながら、モデルさんがごく自然に現代っ子ていう形で、なにかちぐはぐになりそうな感じなんだけど、全くそういうのがない。また、上から、少しいびつに人物を構成して、表情優先、なんとなく、か弱い、女性独特の可愛らしさの備わった魅力的な表情が、こう2枚をじーっと見ていると、ごく違和感なく2枚を同居させて見ることができますよね。全然、表現としては、違うのですけれど、2枚並べた時に、彼女の素顔が、おぼろげながら浮かび上がってくる。本来ならばもう1枚くらい魅力的な写真があれば、もっと広がりのあるイメージで写真群として見られたかもしれないけど、選んだ2枚で見ていても、じっと見て、魅力的に感じる。相乗効果って言えるのかどうか、やはり深みが出てきますよね。見ていても、左から右に、右から左に目を移した時に、彼女の仕草であったり、表情がよりクローズアップされてくるということなんですかね。




以上となります。

それと、家に帰ってから、改めて写真を見なおして、この写真も良いかなと思うのがありましたので、載せておきますね。



Long Rope 11.jpg

(11) α99 Sonnar 135mm 1/160 f1.8 ISO400









タグ:FUJIFILM SONY nikon
posted by にしにゃー at 22:11| Comment(0) | Portrait | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする